私はこれまで、主に商業向け印刷物のデザインを制作してきました。

実際に印刷する際には、必要な部数に応じてオフセット印刷とオンデマンド印刷を使い分けます。部数が一から数百部の場合はオンデマンド印刷を、大量(数百部以上)の場合はオフセット印刷を使ってきました。

これまでは、大量に印刷するデザイン制作に携わることが多く、ほとんどの仕事はオフセット印刷を活用し、オンデマンド印刷は簡易校正に使う数枚を印刷する程度でした。

さて、本日のタイトルでもある「特色(金や銀、メタリック含)」に関するお話です。

オフセット印刷で「特色」を使う場合は、4 色(CMYK)とは別に1 色ずつ版を作成します。金なら金色の版、銀は銀色の版、メタリックならば色を混ぜて作る工程を経て版を作る必要がありました。この手間と時間、そしてコストがデザイナーとして私が抱える課題でした。多くのクライアントさんは、これらの手間から印刷物に特色の使用を希望されないことが多く、プレミアム感を出すときなどに使うまさに「特別な用途にのみ活用する特別な色」だったのです。

そんな私に新たな発想の機会を与えてくれたのが、前職でお世話になった富士ゼロックス(現:富士フイルムビジネスイノベーション)の派遣面接で「オンデマンド印刷機の『特殊色』を活用したサンプルをデザインする仕事」についてのお話をお聞きした時でした。

オンデマンド印刷機で『特殊色』? 何ですかそれは? という時間でした。

そのオンデマンド印刷機はIridesse(現:Revoria Press PC1120)といい、普通はCMYK の4 色で刷るところを6 色で刷ることができる印刷機でした。追加できる2 色は、ゴールドやシルバー、ホワイトにクリア、さらにはピンクなどのトナーを入れ替えることで、簡単に特殊色の印刷を1 枚からでも可能にするものでした。

そしてここがポイントなのですが、CMYK と特殊色のトナーを混ぜ合わせてメタリックを作ることができる!しかも、1 枚の用紙にいくつもの金や銀、何通りものメタリック色を使ったデザインを作成しても、いつでも必要な部数を手軽に出力できる夢のようなお仕事でした。

(この凄さをわかっていただける方は業界の方だと思います。。)

使ってみるとこれが楽しい!色を混ぜ合わせて新しい色を作っていくのは、絵の具をパレットで混ぜて画用紙に描いていく楽しさと似ています。

そして絵の具と同じように、印刷する用紙の質感によって印刷色の質感が変わってくる。これは、大量印刷向けにデザインしてきた時には出会えなかった楽しさです。

オンデマンド印刷は1 枚から印刷できます。必要な分だけ作り、使うことができるので、パーソナライズやターゲットのセグメント毎に異なる色使い・メッセージなど小ロットのオリジナルなデザインの印刷も可能になりました。

C of L Design ではお客様のご要望に合わせ、様々な目的に応じてクリエイティブなデザインと、環境に配慮した用紙と特殊色を使った商品を今後展開してまいります。

余談ですが。私はIridesseが大好きで家に欲しい!と娘に話したことがあります。「賃貸マンションの3階だと床は大丈夫かな?そもそも玄関から入らないからベランダから吊り上げかな?あ、寝るところがなくなるね?どうする?」

娘の一言「まず家を買え」